聴歌感想文

聴いた歌の歌詞、メロディによって感じたことを書き綴る。原文は多く載せられないので、他所で歌詞を参照されることを推奨します。

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ストレンジカメレオン/the pillows

the pillowsは私の人生に大きな影響を与えたバンドの一つと言っていいだろう。

2020年の今でこそ、横浜アリーナの大舞台を埋め、沸かせるほどの大きなバンドとなったが、ここまで至るまでに苦悩があったことは過去の楽曲を聴けば想像に難くない。

その苦悩を描いた曲の中でも代表曲と言える「ストレンジカメレオン」は諦念や哀愁といった複雑な心象が見える。

楽曲の概要

ストレンジカメレオンは1996年に日本のロックバンド the pillowsが発表した楽曲。シングル曲として発表された。

この当時、所属していたレコード会社といざこざがあったこともあり、バンドのボーカル兼ギターである山中さわお氏が作詞作曲を手掛け、リリースを強行したというエピソードがある。

そのような背景もあってか、シングル版はいわゆるCメロ以降がカットされているショートバージョンとなっている。

後にMr.Childrenがカバーした他、後の彼ら自身のベストアルバムにてセルフカバーもされている。

本稿では主にシングルリリース後、アルバムに収録された版(歌詞サイトで見られる歌詞を全て歌ったもの)を元に感想を述べる。

概観

作詞者である山中さわお氏を取り巻く環境もあってか、孤立感や疎外感、そしてそれらに対する投げやりな諦念のようなものすら感じられる。

その中でも歌詞中に登場する「君」だけが歌詞の語り手である自分に優しく寄り添ってくれる。

しかし、そんな君といたことすら過去のこと。別れのとき、それは主人公の人生の大きな節目と考えられる。唯一の理解者である君とは別れなくてはいけない、そんなときに君はなぜ優しくしてくれたのだろう?悲しい別れの瞬間には悲観的な考えが浮かぶのだ。きっと一緒にいた方が都合が良かったからそうしていただけなのだろうと考える。

最後には、そんな中で唯一楽しい日々を与えてくれた君との思い出すら価値がなくなってしまうのではないかという思いと共に別れを告げる。

感想

気分が暗い時に聴くと引き込まれてしまいそうになる程どうしようもない気持ちになる歌である。そんなときは彼らの他の楽曲を聴いて力を取り戻したりして。

しかしこの歌詞は彼らのバンドのやり方を見てくれば、生き方や一般的な人生における「得たいもの」と「失うもの」を描いたものにも見える。

そんなことを端的に思わせるのはCメロの歌詞、

抱き合わせなんだろう 孤独と自由はいつでも

と言ったところに見える。

やりたいことをやる。結果がついてくるかはわからない。それでも自分の意志を貫くとき、どうしても孤独はついてくるものである。

どんなに強く生きていたとしても、この歌詞のようにもやもやと考え込んでしまうことはあるのではないだろうか。

たとえ斬新なアイデアで起業した者でも、誰もが無理だというような世界のプロを志した者でも…

ある意味、最後に全てを悲観的に捉えているのはそうではないかもしれない。自由を得るために失ったものは大したものではなかったのだと自分に言い聞かせるための言葉かもしれない。

日本人は自由が苦手と言われることがある。それはつきまとう孤独を恐れていることにも起因するのではないだろか。

世間や社会から外れてしまうこと。孤立して自分の力で生きる覚悟がなければ自由はない。

この世界にはそういった自由を得た人間に厳しい環境もあるが、自由を得ることによって孤独であろうと手に入れられるものは少なくないはずだ。

この歌詞のように、ひどく失ったものに対して悲観的になることもあるかも知れないが、その先にあるのは自分が選んで勝ち取った自由。さらにその先に何が待っているかは自分の生き方次第なのだ。

自己紹介

はじめまして。ふと思い立ったので、読書感想文ならぬ聴歌感想文を始めてみようと思いました。

90-00年代のロックが大好きなので、選曲には偏りが出てしまうかと思いますが、なるだけ自分が関心を持った、古今問わない曲について感想文を書いていきたいと思います。

 

私の思考の、学びの、知識の大半は歌にありました。

歌によって救われ、歌によって学んだこと、得たことも数多くありました。

それらのことをアウトプットするため、ここに残そうと思います。

いわば、私の思考の全てがここに残ると言えるかもしれません。

 

あくまで20代の女性の一意見、一つの解釈でしかないことをご理解いただければと思います。